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土曜と日曜に雪が降った。
炬燵で丸まる僕の妻は、１時間おきに立ち上がって窓の外を眺め、
降り続く雪を確認しては、満足した様子でまた炬燵で丸まっていた。
僕もベランダで煙草を吹かす時に、夜空にしんしんと降り続く雪を眺めた。
僕は蛍族だ。
さて、このしんしんと降るという表現ついて、以前アメリカ人と議論した
ことがある。長野県の居酒屋で隣り合わせた彼は、中学校のAETとして、
一年ほど前から長野に住んでいた。会話が尽きると天気の話をするのは
日米共通のようで、しばらくして彼はその日の天候についての話を始めた。
そして、その不毛な会話の中で、今夜は雪がしんしんと降っているという
話になったのだ。
−違う！サイレントリーじゃない！
−クワイエットもちがうんだ！
僕は僕の知っている数少ない英単語を使い、彼は彼の知っている数少ない
日本単語を駆使し、必死に‘しんしん‘について理解を共有しようと努めた。
結局、彼が理解できたのはビールを‘ゴクゴク‘飲むに留まった。
残念であったが、彼は日本語のもつ奥深さを美しいと言った。
帰り道を‘とぼとぼ‘歩きながら、僕は日本に生まれたことと、
先人の感性に感謝し、しんしんと雪が降らないアメリカを哀れんだ。
僕もアメリカに生まれたなら、犬の鳴き声がバウワウと聞こえたの
かもしれない。でもクックドゥードゥルドゥーは絶対にないと思うのだ。
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2011年1月19日（水）
No.33
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